JAZZジャズ名盤店

伝説的なコンサートの全貌
1981年、セロニアス・モンクが亡くなる3カ月前に行われたトリビュート・コンサート
の全貌を収録したCD4枚組。ディスク一枚にワンセットが収められておりセット毎にピ
アニストが交代している。そのピアニストはdisc1がムハール・リチャード・エイブラ
ムス、disc2がバリー・ハリス、disc3がアンソニー・デイヴィス、disc4がマル・ウォ
ルドロンという興味深い人選。また共演するミュージシャンも素晴らしい。スティー
ヴ・レイシー（ss）、チャーリー・ラウズ（ts）、ドン・チェリー（tp）、ラズウェ
ル・ラッド（tb）、リチャード・デイヴィス（b）でドラムスはdisc1と3にベン・ライ
リー、disc2と4がエド・ブラックウェルというセプテットで演奏される。ただし各セ
ットとも一曲目はそれぞれのピアニストのソロ演奏で他にdisc1でスティーヴ・レイシ
ーが一曲ソロで、またdisc4ではレイシーとウォルドロンのデュオが2曲ある。

このように並べると各ピアニストのアプローチの違いが明瞭で面白い。意外にもオーソ
ドックスな演奏のエイブラムス、何の飾りもないにもかかわらず粋な空気を醸し出す職
人技的なハリス、エリントンとドビュッシーが一体になったかのような色彩感のデイヴ
ィス、貫禄と味わいのウォルドロンとそれぞれの個性も楽しめる。ピアニスト以外では
スティーヴ・レイシーが素晴らしい。コンボでの演奏は特に凝ったアレンジがあるわけ
でもなくストレートに、いくぶんルーズなジャム・セッション的に進むが各ミュージシ
ャンのソロは簡潔にまとめられているので冗長な印象はない。またナット・ヘントフと
スタンリー・クロウチのスピーチ、アミリ・バラカのポエトリー・リーディングも収め
られておりいずれも興味深い。出来としてはdisc4のウォルドロンのセットが白熱の演奏。

おしよせる南米の哀愁と情熱！
　ジャズを演奏するため、1962年に故郷アルゼンチンを離れてイタリア〜アメリカへと移ったテナー奏者 Gato Barbieriが、Impuseレーベルに残した「Chapter One : Latino America」(73年)、「Chapter Two : Hasta Siempre」(74年)　に、未発表曲を加えた２枚組。

　前半はなんとアルゼンチンBuenos Aires録音、後半はブラジルRio de Janeiro録音が中心だから、ガトー以外は全て現地ミュージシャンという状況で、タンゴやサンバのリズム、フォルクローレといった南米音楽が真性120%の全開ぶり。これにガトーが、故郷を捨ててまで得た10年間のジャズ鍛錬の成果を激しくぶつける！

　ゴージャスで情熱的なテナーの響きと、民族楽器の素朴で木質的な音色が、奇蹟的に融合。これでもかと畳み掛けてくる哀愁のメロディの連続は、ガトーのみが成し得るもの。なりふり構わず張り上げるような自身のボーカルがまた熱すぎる。胸に突き刺さってくる傑作だ。